'11 スペシャル部門 JNCみなまた環境大学カリキュラム提案賞

<大賞受賞>

『水俣のわざに学ぶ』
 東北大学大学院工学研究科 環境生態工学研究室(代表:白川百合惠)

【概要】

この実習の目的は、自然と人間との関りを具体的かつ実践的に学び、水俣市の先進的資源循環システムを理解することで、自然との共生方法を検討し持続可能な社会に向けた糸口を探ることである。自然界の物質循環を適正に保つには、行政や法的規制や一般市民一人一人の高い環境意識に基づく地域活動が必要不可欠である。参加者には、修了後に自然との共生を図るための活動を率先して行い、各地域の環境意識を高め、住民による主体的な活動を啓発することが期待される。

【受賞コメント】

応募のきっかけをお聞かせください。

東北大学のGCOEの講義の中で生態適応化学という授業があったのですが、それを受講しまして、みなまた環境大学のカリキュラムに参加するのはいい機会かなと思いまして応募させて頂きました。

生態適応化学とは、どういう学問ですか?

これまで人は、自然をコントロールして克服しようとして来ていたんですが、自然の機能や役割を知るうえで人間側がうまく適応していくことを学問する領域だと思っています。具体的には私は、排水処理の活性汚泥法の生物分解を研究しています。活性汚泥の中から原生動物とか後生(こうせい)動物とかを分離してきて培養したりして、生物の相互関係を解明しようとしています。

受賞された感想をお聞かせください。

今年、みなまた環境大学で実際にカリキュラムが実施されるので、責任が重大だと思っています。がんばろうと思っています。

二次選考が水俣市でのプレゼンテーションでしたが、その感想をお聞かせください。

水俣に行くのは初めてだったのですが、海がすごくきれいで穏やかな街だなという印象を受けました。市役所の皆さんも環境に熱心な方がたくさんいらっしゃるようですし、ゴミの分別が24種類だったり、全国的にもすごく環境に関する活動が盛んなところだと思いました。

もう少し水俣病というのが前面に出ているような街かなと思っていたのですが、そうではなく、普通の街とまったく変わらない感じだったので、その点はギャップがありました。

カリキュラムづくりで気をつけたところは、どんな点かお聞かせください。

実際にフィールドに出て、環境の仕組みとか海にどんな生物がいるかを調べたり、水俣市街地に出て昔ながらの生活を体験するなどに重点をおき、体験することを重視したカリキュラム作りをするように心がけました。

研究室内には、後輩や先輩もたくさんいるし、いろんな分野を研究している人がいますので、カリキュラムの実施も、大変心強いです。

これからの展望について、お聞かせください。

生態適応化学を学ぶことができたので、それを活かして、「持続可能な社会」という視点を持って研究を続けていきたいと思っています。

(2012年2月13日インタビュー)

<準大賞受賞>

『水俣を様々な立場から多角的にとらえ、関係者とともに考える。』
明治大学商学部 森永由紀教授特別テーマ実践科目「水俣病途上国への発信」 代表 若林 利成


【概要】

水俣は「水俣病」というイメージから、現在の水俣を知らない人が多い。そんな水俣で生活しているのはどのような人たちなのか。また公害が起きた町に住んでいる方がどのように意識して生活しているのか。本提案は、市民・行政・企業のもやいなおしの下、環境都市として復興を遂げた水俣を歩き、企業や行政など現場で働いている方々と接し、声なき声に耳を傾けながら、水俣を様々な立場から多角的にとらえ、関係者と一緒に考えるという企画である。