『官・学・民・産と、世代間交流の輪で繋がる地域活動』 次世代のためにがんばろ会[熊本県]

<'11 ライフスタイル部門 市民が創る環境のまち"元気大賞"  元気大賞受賞>

【概要】

自然環境悪化の原因は大人であることを肝に銘じ、次世代の子ども達の自然・心の環境を改善・啓発・指導していく様々な活動を行っている住民有志の会。活動では、参加高校生・高専生・大学生にも企画運営や実行委員になってもらい世代間交流を図り、地域のリーダーとなれる人材の育成を行う。一方で、官民学企業が連携する活動イベントでは、それぞれの環境保全の取り組みを紹介してもらうことで、子供たちの環境意識を高めている。

【受賞コメント】

受賞された感想をお聞かせください。

私たちは平成13年から活動をやっていて、今年で11年目になります。当初から、官民学での活動としてやってまいりまして、地域で、行政の方とか民間の学者の先生方などに指導を受けながら繋がってやってきましたので、この賞がいただけたのも私たちだけの力ではないと思っています。地域の方々に感謝しております。

受賞された地域活動を始められたきっかけを、お聞かせください。

平成13年に八代市が「市民環境研究員」という募集をしました。八代市の環境基本計画を作成するにあたり、市民の声をいただくということで公募したのですが、そのときのメンバーで発足させた会です。市役所での環境基本計画の会議は、やはり机上の会議ばかりだったので、何か行動に移したいね、ということで会を作り、そのときから市役所の方にもサポーターに入っていただいたり、学校の先生方などにもご相談しながら一緒に活動してきました。

応募されたきっかけを、お聞かせください。

昨年6月、ちょうど10年目の節目で「青少年環境フォーラム」を開いたんです。そのときの参加者が1200人ぐらいいまして、知名度などすごくアピールできたんですけれど、全国的にもこの会をもっとアピールをしてみようかということで、応募してみました。

会では本当にいろいろな活動をされていますが、何か苦労している点がありましたらお聞かせください。

苦労というよりは、楽しみのほうが多いんですが、最初は人を集めるのに3年ぐらい苦労しました。でもある時から高校生がどんと入ってきて、300人、600人、1000人になりまして、今はもう学校のほうから、「今年はいつやるのですか、年間日程をください」と言われるまでになりました。

高校生が来てくれるようになったきっかけは、牡蠣殻祭りの活動です。牡蠣の殻を浜辺からもらってきて、汚い川に埋める水質浄化活動をやっているんですけれど、私たちだけではちょっと重たいというのもありますが、その川の現状を高校生に見てほしいと思い、約10の高校に手配りで案内しました。そうしたところ、工業高校の先生がすごく理解があり、ラグビー部をバス2台で連れてきてくださって、それがきっかけでどんと広まって、他の学校の先生にその話をしたら、じゃあ、うちも出しましょう、ということで、広がっていきました。

もとから、まとまりのある地域なのでしょうか?

活動していくうちに繋がってきています。私たちの周りにも、そういう団体が生まれて繋がって、「もやい活動」と呼んでいるんですけれど、私たちが活動をするときには他の団体が来てくれて、今度はその団体が活動するときには、私たちがギブアンドテイクで手伝う、ということで回っています。全部で30ぐらいの団体とか行政がいて、みんなでやっているという感じです。

「次世代のためにかんばろ会」という名前ですが、「次世代」からの手ごたえは、ありますか

自分たちが頑張って毎年やっていく中で、若い人にも一生懸命頑張ってもらえるようになってきています。さっき言いました牡蠣殻祭りに3回目ぐらいから参加した人が、大学を卒業して今度市役所に努めるんですが、すでに会員になっていて、もうこの会のイベントでマイクをにぎっています。

高校の面接試験の推薦状をうちの会に求められることも多いんですが、何人もこの会の推薦で通っているという話です。環境活動では、汚いことや危険なこともするんですが、それがまた評価されるそうです。で、そういう子たちが、また帰ってきています。「僕は八代が好きだから帰ってきます」と。

環境活動によって地域を活性化していくときに、大事なことは何だとお考えですか?

有言実行でしょうね。私たちは、考えてばかりいないで動いて、反省点を次に生かし改善しながら次へ望んでいくので、失敗も多いです。でも必ず改善して、毎年違う企画にもっていくんです。ひとつのお祭りでも、毎年違うバージョンをします。同じことはしません。そして、今年のお祭りをしているときには、来年のお祭りのことを考えています。

「同じお祭りをしない」というのは、イベントの中の、リクリエーションを変えたり、食べ物では流しそうめんを体験させたり、と少し変えてみるんです。浜辺のお掃除もポイントを少し変えていくなどです。それを、会議で話して揉むんですけれど、誰ひとり無理とは言わないんです。だから会員がすごいと思います。もう無理だからやめよう、とは絶対言わないで、どうしたらそれをクリアできるかという話し合いがもたれるので、皆すごいなと思います。

もちやもちやで才能のある人がいっぱいいるんです、この会には。会員は18人ですが、核となる人が18人いるな、という感じです。そういう人の繋がりが入ってくるので、この人に頼めばここが来るという予想がつくし、行政も、この人に頼めばどこに繋がるかわかるというのがあって、今は、メールや電話1本で済んだりしています。

今後の展望をお聞かせください。

次の世代がまた次の世代を育てていくように、意識を変えていくような人を増やしていきたいと思っています。だから教育委員会と一緒に教育サポートということで、学校教育に参加しようと思っています。環境出前授業を、充実させて行なっていこうと思っています。

(2012年2月13日インタビュー)